●プチ報告書?
第二部
美術館問題について「新聞記事には演劇系拠点なんて文言もあったけど…」
●県内でこれだけの数の劇団が一堂に会するのは、ほとんどはじめてのことだったので、今日の会議のいちばんの主題は、お互いの活動状況を共有することでした。ただ、きっかけはきっかけだったので、最後に、「前橋美術館」についての意見交換もしました。
●共通の思いとしては、「美術館があるといいよね」「きっと美術と演劇は仲良くできるよね」「演劇の作品向上のためにも、連携のためにも美術館があるといいね」というあたりでした。
●自分たちに使いやすい場ができれば、それに越したことはないけれど、これまでの積み重ねを尊重するなら、「前橋にはぜひ美術館」がほしい。そのためには、本気のきちんとした美術館であるべきだ、というのが、今回の(仮称)ぐんま演劇人会議での結論だと思います。
●また、演劇人にふさわしい、新たな「演劇の拠点」「演劇の場」が必要であることは、美術館問題とは別の課題としてある、ということも付け加えておきます。
●では、具体的にどんな美術館の姿がよいのか。それはまた今後、美術関係者のみなさんをはじめ、多くの市民が議論しなければならないことだと思います。
ちなみに、(仮称)ぐんま演劇人会議には前橋在住以外のメンバーも多くいますが、みな、地域における文化施設の在り方について、なにかを考えようとするメンバーでした。
演劇人として
美術の創造力にもっと近づきたい
劇団シブパ (1999 年創設) サイト
動画赤石さん
劇団シブパ 赤石代表
美術館ほしい。演劇のなにかを美術館に作る意図がわからないまま、ごちゃごちゃになって、演劇を見てない人から、演劇がよく思われない方向にいったら嫌だ。美術やってる人、演劇やってる人、みんなで集まって、ある程度の期間、話し合えたらいい。
演劇をやる人には、美術に興味のある人が多いと思う。舞台美術は創造的なところやリアルなところなどいろいろだが、演劇をやってる者としては、美術をやってる人の創造力を感じて、もっと近づきたいと思っていると思う。あそこに演劇のなにかというなら、公民館のほうにもホールはある。(会場から)元気21のホールは無料公演でないと公演できないというしばりはあるが。
カテゴリーを乗り越え
新しい創造のためにも拠点は必要
劇団ザ・マルク・シアター( 1983 年創設) サイト
動画生方さん
劇団ザ・マルク・シアター 生方主宰(前橋在住)
美術館と演劇のできるエリア、静で見るのと、動で見るのと、一緒のスペースではやりにくいかもしれないが。
私がずっと言ってきたのは、24時間つかえる場所。みんなで管理して 夜中の一時からはじめてもいい自主管理。金沢や盛岡では、十年以上うまく回っている。いろいろな地域で、芸術とのコラボや、路上パフォーマンス、美術館とのコラボもやっている。練習する場所ができれば、いずれ実になる。今回の美術館の場所でなくてもいい。違うところでいいので、屋根と風のしのげるところがあればいい。
美術館はできれば、我々も感化される部分ある。さきほどの八木さんのお風呂を置く作品など、我々凡人は想像しないが、そういう発想求めている。刺激を受けないと新しいもの生まれない。そういう刺激受けられるところ、たくさんあるといい。演劇というひとつのカテゴリーにおさまることのない。いろんな考え方の中で、いろんなことを創造していったほうがいい。そういう地盤は、前橋、群馬にはある。そこをもう一回掘り起こす。
こういう機会ができたのも、東京新聞が一本書いてくれただけで、みんながざわざわっとした。美術館の人も、演劇も、エリアを守りたい。これが仮に、演劇ホールができると話が進んでいたものが、美術館に変更されると聞けば、「だってできるって言ったじゃん」となるだろう。今回の問題提起のおかげで、こういう集まりができて、若い演劇人たちがいろんな意見をもっているというのがわかっただけでもよかった。今後も、もっといろんな話ができればいいなあと思う。
これまでの経緯を大事に
みんなでいっしょに盛り上げられたらいい
CSpuroject ブログ
動画 やよさん
CSproject やよさん(前橋出身)
弁天通にあるカフェのヤーマンズ跡で、ヤーギンズという美術館構想などの話を現在も行っている場があることを知っている。(本日参加の八木さんが主体とは知らなかったが)
以前ヤーマンズに集まっていた友人たちと一緒にイベントなどもやった。
そのとき、美術作品を横に公演をしたこともある。
今後、出来るものが美術館であってもよいので、演劇も、ダンスも一緒に前橋をもりあげられたらいい。
。
フラットでアトリエ的な空間を
どこかに持とう
動画前山さん
CSproject 前山さん(足利出身)
美術館の中にキャパ200~300くらいのフラットなアトリエ的なものがひとつできて、そこにスポッと入れればいいが、もし今回できなくても、演劇やってる人ってめげない・笑、次の手を探せばいいんじゃないかなと思う。
(会場から)桐生の蔵みたいなのがあるといいよね
電車や自転車で行ける美術館があるといい
テアトル・ヒューメ サイト
テアトル・ヒューメ 鹿子島さん 大学生(前橋在住)
美術館好きだが、車持ってない学生にとっては、高崎行くのは厳しい。電車なら行けるが群馬は便が悪い。元気21隣なら前橋駅から近いし、私などは自転車でも行ける。近くに美術館ができてくれれば、ありがたいと思う。特に演劇という形にしなくても、美術館のままで作ってもらった方がありがたいかなと思う。
ぐんまで演劇のやれるハコが
増えてほしい
動画石田さん
テアトル・ヒューメ 石田さん 大学生(伊勢崎在住)東京で芝居やる魅力は、小屋がいっぱいあって選択肢が多く、交通機関が発達していてお客さんが集まりやすいこと。群馬ではいくつかにしぼられてしまう。もし美術館で演劇ができるようになれば、群馬で演劇をやれる箱の選択肢がひとつ増えるので、僕にとってはうれしい。
でも演劇を知らない人が、舞台空間作ると、なんでここにシーリング(灯体)があるのっていう場合もままあるけど。
(中村から)だいたい舞台に明るくない人が作ると、舞台はあるのに、袖がないよね(会場笑)
それと、個人的には、美術館が解決しないと、シネマまえばしが営業してくれないので、困る。僕、通っていたので。
芸術に興味のない人のことも気になるが
私は美術館ができたらガンガン通う
斉藤さん(前橋在住)
ひとつ思うのは、仕事に精いっぱいで、芸術なんかとか、休みの度にパチンコ行くとかって人にとっては、美術館でも、演劇系拠点でも、どっちでもいい、無くても生活できるって人のほうが多いだろう。
用途によって使い分けられるならいいなあと思うが、美術館なら美術館ができるのであれば私はがんがん通う。もちろん、演劇系拠点になって短いスパンで次々、いろんな公演が催されれば、それも楽しい。美術や演劇以外の人たちが通ってくれればいいが、そうでない人の方が多いことも気になる。
そこに行けばなにかがあると
期待できる文化スポットほしい
石田さん(前橋在住)
きのう、群馬大学ダンス部の公演を高崎文化会館に観に行ったが、帰りがけ、前を歩いていたおばちゃんが「前橋は美術館もやめちゃうし、しょうがないわよね」って会話をしていた。美術館を望んでいる人はいるんだと思った。
前橋に、映画館とか、美術館とか、文化のスポット的なものがあるといいな、そこに行けばなにかがあると期待できるものがあるのはいい。
美術館になったり、舞台になったり
できたらいい
劇団ポーキーホーキー 鈴木さん (高崎在住)
前橋に美術館ができること自体、きのう…知ったので(笑)。なので、美術館になったり、舞台できる場所になったりできればいいなあとは思う。
美術館をきっかけに
芸術に興味をもつ人が増えるといい
同劇団 新保さん(高崎在住)
演劇やったり、舞台やってる人は美術に興味があるが、そういうことに関わってこなかった人は視野が狭いので、行こうとはなかなか思わないかも。私も演劇をはじめてから、美術館に行ったり、いろいろなことに視野が広まった。美術館ができることで、芸術関係に興味をもつ人が増えるといい。
私の演劇もアート。
パフォーマンスのできる美術館が身近にほしい
ミュージカル劇団ポーキーホーキー
同劇団代表 福島さん(高崎在住)
高崎は美術館が多くて、自分の作品の展示のために、借りる人も多い。一年先でないと借りられないとか、どこもすぐいっぱい。アートやる人がいっぱいいる。
(中村から)シティギャラリーとか?市立美術館は一般の人は借りられないのかな。
ヤマダ電機の中にもあるし、民間のギャラリーも多い。
私も作品作るの好き。私は、自分の劇団の公演もアートだと思う。見た目にこだわる。アートフェスタも行く。なんでもありで、 これってほんとに芸術なのっていうのから、なにからなにまでで、すごく楽しい。高崎はかたい美術館が多い。パフォーマンスやる美術館は、私の知る限りではないので、県内にも自由に使えるところがあれば、ほしいと思う。
本気で本格的な劇場か
多様な可能性に満ちた演劇空間を
田舎芝居わら座 (1996創立)サイト
動画丸山さん
田舎芝居わら座 丸山さん(高崎出身・沼田在住)
造るなら、ちゃんとした劇場がほしい。さいたま彩の国劇場のような、4面で高さもある劇場。その隣に音楽ホールがあり、視聴覚のホールがあり、みたいな。前橋レベルでも、県レベルでも。
一方、展示もできる、公演もできるというのもいい。それに、いろんな規模があって、いろんな使用方法があるのが理想。前橋ならそうあるべき。北毛でやってる者から見れば、夢のような話。
私たちの芝居では、状況の悪い場所をいかに劇場にするかというおもしろさを感じている。お寺の本堂でお客さんが本尊にとっつきながら見るとか、そういう劇場でないところをいかに劇場にしていくかということをしている。劇場としてしつらえられてる所では無い。和尚さんも檀家さんからあずかっている本堂だから、釘一本打てない。どうやって灯体をさげて、どうやって幕を下げるか、その工夫のおもしろさ。
可能性のある空間だけを造ってもらって、やりたいことをその中でどうやって作っていくか、そういう可能性のある空間があるといい。
まえばしにはもっと
美術館や公演できる場所が必要
役者、書店での読み聞かせ活動 萩原さん(高崎在住・前橋勤務)
子ども連れて元気21は良く行く。高崎ではつぶれた映画館をこういうふうにうまく活用できなかったのかな、と思う。前橋は、美術館も公演できる場所も少ないとは感じる。
中途半端ではなく
徹底的な文化施設を
清水さん(前橋在住)(前伊勢崎境演劇フェスティバル実行委員長・長年、毎週土日に、県内のアマチュア演劇をみている)
三年間中国勤務だった。先日帰国したばかり。会社の中でも、今、前橋はたいへんなことになってるよって話題にもなっていたので、今日までにいろいろ情報収集した。
美術館を造るなら作ってほしい。基本的には、中途半端なものは造ってほしくない。中途半端で成功したものはない。適当なところで作ると役立たずのものになる。美術館があればそれなりの効果があると思う。
ただ、県庁所在地で唯一市立美術館が無いのは、前橋だけだから美術館を造るという論理はとおらないと思う。こういうことができる、こういうことで必要なんだ、という話でないといけないと思う。
演劇関係の場所は必要だと思う。今の公的なところがやるのは、制約が多くて、美術も音楽も演劇もうまくいかない。やはり金沢は、美術できて、音楽できて、24時間使える。
(中村)美術でも演劇系でも、ハードだけでは解決しない、ソフトの考え方が重要な時代だと思う。
ぐんまの演劇人の「清貧」なところは
いい面でもあり弱い面でもある
参考ブログ「高校演劇サミット2011のブログ」
県立前橋南高校演劇部顧問 原澤さん(前橋在住)
金沢の現代美術館も行ってきたが、あれば素晴らしいと思うが、前橋で成立するのかなと、ちょっと不安はある。
群馬で、演劇をやってる人たちは清貧というか清い。そこがいいところでもあり、弱点でもありで、特にお金を集めるのがへた。だから、お金のかかるハコモノはいらないよと言いつつ、でもハコモノ無いとどこで演じるんだ、という部分もあるし、そんなあたりで悩んだりする。
前橋でできる演劇の可能性
をむしろ現代アートは示唆してくれるだろう。
そのために学びたい
動画小出さん
小出さん 劇団主宰、ワークショッププランナー(前橋在住)
僕みたいな人間が美術について語ろうと思うと、語るべき言葉が無い、それは不勉強だからだと思う。それなのに、美術館問題を語らないといけないもどかしさを感じる。演劇と美術のあいだ、みたいなところに立っている、そんな驚きの部分も共有したい。最近、中島さんと知り合いになったが、中島さんと出会っていなければ、美術について考える、それも、自分の実存に近づいたところで美術について考えることはなかっただろう。不勉強だったなと思う。
好き嫌いでものごと語れば終わるということではなく、もう少し踏み込んで考えていきたい。演劇は美術の中から、もっとおもしろいものをみつけられると思うし、かっこつきの都会でやらなくても、前橋で、いろんな演劇の表現はできる。
そういうものを示唆するのが現代アート。自分たちのあまり知らない領域の中にそれがあるなら、それが近くで見られるならいい。政治の話を含めて、不勉強、そういうところに自分はいるな、と思っている。
時代はすでにジャンルを超えている。
お互いが交感しあえる場を求める
中島さん 芸術家
僕も小出さんを知らなければ、演劇は嫌いだったろうし、今でも好きなわけではないが、こういうふうに車座になって話せる機会はいちばん貴重と思う。
聞いていて、美術も演劇も抱えている問題は似ていて、やりたいことのイメージもすごく似ている。多様化している社会、表現世界、演劇も美術も八木さんが作っているお風呂も、ひとつの表現方法でしかない。美術館だ、演劇系施設だと、ジャンル分けする時代ではないのではないか。今後ぐんま演劇人会議がどういうふうに続いていくのかはけっこう大きいと思うが、ぼくらアーティストもこういうところに参加すると、もっと新しいアイディアが生まれてくるのではないか。
話を聞いていて、ホールとしてデザインされているところじゃないところを変えるという考え、それがインスタレーションの原点。ぼくらはそういうところが得意。たとえば、八木はしゃべるのは得意じゃないが、さきほど、自己紹介からして発声が違うよな、なんて言い合っていた。新しくできる空間は、お互いできること、できないことを交感する場であるといい。今後もこの会議に呼んでもらえればと思う。
市民ギャラリーと美術館、
既存ホールと演劇を生みだす場
そこに違いを感じるのは同じ
八木さん 現代美術作家
さきほど清水さんが言うように、美術館が必要かどうか、ちゃんと議論したほうがいい。県庁所在地なのに市立美術館が無いという理由はやめてほしい。
美術も多様化しているので、美術館ができるとしても新しいものでないと意味がない。演劇と美術で、お互い刺激できればいい。いったい、どこから演劇の話題が出たのかなと思うが。ところで、既存のホールはいっぱいあるがどうなんですか?
(中村)それ、大きなテーマなので、今日、これからホールの話をしようと思うと、とんでもないことになります(笑)それはぜひ、今後のテーマにしていきたい。
それと同じこと。僕たちにとって、市民ギャラリーと美術館のイメージは違うが、みなさんの言う既存のホールと、演劇を生みだす場はちがうというのが、同じことかもしれない。
(会場)前橋美術館は、若手アーティストの展示もするんですか?
一般市民が?
(会場)みなさんのような方の作品
中之条ビエンナーレのように、まちなかで若手のいろんな人が作品を飾る、そんな話は出てないんですか?
(中村)市長のコメントでは出てますよね。
中島さん さきほど、有名な演劇人がまえばしに来て、一時間でもいいから稽古をつけてくれるといいと言う話があったが、ぼくらにとってもスーパースターが来てくれるといい。個人的な意見だが。
(会場)運営サイドにものすごく美術にくわしい人がいて、運営するって話はあるのか
(中村)美術のほうはアートディレクターが入るってことはある?
学芸員が前から入っている
(中村)その上に芸術監督のような。その検討もこれからだったんでしょうね。
(会場)わからない人がやるとしっちゃかめっちゃかになってなんでもないものになる。
美術でも演劇でも、わからない人がやると、めちゃくちゃにされて終わる心配がある。
(中村)今回、この集まりを開催するきっかけは、演劇系拠点という言葉が、東京新聞の記事にあったことなんですが、私が予測するに、市長の中では、それほど演劇を重視してないのかもしれません。
(やよさん)山本さんのブログを見ると、「演劇」はいちばん最後に書いてあった。ダンスとか、能とか、オペラとか。東北方面の演劇の工房を見学に行くと言ったので、記者が、そこから演劇系拠点というイメージをとったんじゃないでしょうか。
★次回について
(中村)今日は、こんなに大勢集まって、こんなに話してくれるとは思ってませんでした。もう「2012年春 まえばし演劇事典」ができるくらい、がっつりした話ができた。検討する時間が無くなったので、報告書のまとめ方は、まかせていただきたいが、これまでのものでも今後のものでもいいので、みなさんの公演のちらしを送ってほしい。
今後については、お互いの情報共有が一義なので、第一部で、二団体に30分ずつ活動報告してもらって、質疑応答、第二部では、今日のように広範囲なテーマでディスカッションするという二部構成で進めていきたい。次回はひとまず四月下旬だが、その後どれくらいのスパンで開催するかは、また相談したい。今日は大幅に時間オーバーしたが、今後は、片付けも含めて、時間内に終わるようにしたい。ほんとうに今日はご参加いただき、ありがとうございました。
第二回は四月二十日過ぎを予定しています。
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